作品についての想い

始めたキッカケ

美学校にて現代美術を学び、写真コラージュをシルクスクリーンで刷って、作品を作っていました。それは面白かったのですが、インクの匂いやシンナーが身体に悪く、代々木上原に作ったシルクスクリーン工房を閉鎖しました。そのときに、人が多すぎる東京での生活は、とても疲れを感じたので「物を作って生きていきたい」「ストッキングを履かなくて良くてジーパンで過ごせる仕事をしたい」「緑豊かな田舎で暮らしたい」と思いました。23歳のとき、笠間の小林三千夫先生をご紹介していただき、師事しました。小林家の家族の一員としての弟子生活は、とても快適で優しい先生や奥様、たくさんの仲間たちに恵まれていましたね。26歳のときに須藤茂夫と結婚し、窯名を「東風舎」と定めて2人で作陶生活を始めて今に至ります。そして私の生活は、ここ笠間ですっかり落ち着きました。

作品に込める想い

陶芸は、始めて40年経った今でも楽しくて、作りたい物はいつでもたくさんあります。アート志向であったため「陶画」を中心に作品を作り続けていますが、その他 、箸置きや和風食器、オブジェなど何でも作りたい物を作っています。陶画は「生活の中に、安らぎを感じていただければ」と思いつつ制作しています。ある作品が、保育園や病院の待合室に設置して頂いたときは、本当に嬉しかったので、これからもお役に立てるように心を込めて制作させて頂きたいと思います。「この陶画を見るとホッとします」と言っていただけたときは、飛び上がるほど嬉しかったですね。現在は「植物陶器」と称して、植物と器をひとつのオブジェとする作品を制作中です。

今後のこと

今後の目標

モダンアートと陶芸の中間というスタンスで、展覧会を行なっていきたいと思っています。若い頃に現代美術に興味をもち、そこから陶芸に入ったため、私の作陶はアートっぽいものが多かったです。しかし、あまり気取ったアートというより、「生活の中に入る」 つまり使っていただけるものを作りたいと思っています。この目標をもって、植物陶器やうつわ類を作り続けたくて、陶画においては、お部屋に飾って心安らぐ、画風でありたいと思っています。

笠間焼についての今後の想い

静岡、東京より移り住み40年近く笠間で作陶生活を送っています。笠間は第2の故郷であり、大好きな居場所です。豊かな自然、山々に囲まれて美しい景色、アーティスト達の作り出す独特の手作り感ある空間。これらの恵まれた環境により、笠間焼は生まれているのだと思います。多種多様な焼き物が並ぶ自由な雰囲気の笠間焼は、若い人達に受け継がれて、より洗練された作風を感じています。私も最期まで作り続けますが、若い人達も一緒に新しい笠間焼を展開していっていただきたいと期待しています!

作家のプロフィール

名前

須藤陽子

工房名

東風舎

出身地

静岡県

陶歴、受賞歴

1976年 慶應大学国文科卒業
1977年 東京神田美学校シルクスクリーン工房終了
1979年 茨城アートシンポジウム出品
1982年 須藤茂夫と結婚し、窯名を東風舎と定め作陶を始める
1988年 国際陶芸展外務省後援入選
1990年 国際陶芸展入選
1995年 日清めん鉢展入選
1998年 北茨城市天心準大賞受賞
2001年 愛媛県酒の器創作展蔵元賞受賞
2003年 芸術の森公園 時計台の陶板部分製作
2005年 積水ハウス太田営業所 entrance組陶画製作
2007年 矢板市 こどもの森保育園新館の渡り廊下に組陶画製作